いじめ。少年少女の自殺が後を絶たない

「娘の遺体は凍っていた」


14歳少女がマイナス17度の旭川で凍死。

背景に上級生の凄惨イジメ。母が涙の告白という報道が目に留まりました。

少年少女がいじめを苦に自殺する事案が後を絶ちません。


長年、刑事をやってきて言いたいことがある。

まず、いじめは、相手に対し、精神的、身体的に苦痛を加える行為であり、

傷害罪、暴行罪、名誉棄損罪、侮辱罪等の犯罪となる行為が多い。

そして卑怯である。

いじめの特徴として「複数人対1人」「長期間、繰り返す」から。

本当に卑怯極まりない。


今回、報道された14歳の少女が凍死した事案については、お母様が娘さんの実名と写真を出して告白している。その告白内容を読んで本当に心が痛みます。

いじめのことを多くの人に知って欲しい思いで告白しています。


その告白内容は、

娘さんは、今年2月13日午後6時過ぎに自宅を出たきり、行方不明になった。

1か月以上の家族、友人、ボタンティアらが捜索したが、発見できず。

雪解けにより発見されたが、凍った状態。

発見時、薄いパンツとTシャツ、上にパーカーを羽織っただけ。

家を出た日は、氷点下17度以下。

その後、どんどんと雪が積もり、温かくなった3月下旬に雪が解けて発見。

失踪当日、ラインに自殺をほのめかす内容があった。

中学校に通うようになって「性的な虐め」を受けていた。PTSDも発症。

それから、1年ほど引きこもりになっていた。

失踪後、警察の捜索が続き、パトカー、警察犬、ヘリコプターで捜索。

その後、ビラ1万枚を配り、ラジオでも呼びかけた。

失踪から19日に公開捜査に踏み切り、38日が経った3月23日発見された。


前途ある少女にとって、あまりにも残酷な最期である。


警察署霊安室で本人確認した後、お母様は何度も凍った娘さんに謝ったという。


娘さんは「将来は法務省で働き正義の味方でいたい」と言っていたそう。

「弁護士はどう」と聞くと、悪い人の味方はしたくないと言っていた。

しかし、いじめ後は自己否定し「ごめんなさい、殺してください」と部屋から独り言が聞こえてきたとか。

また「外が怖い」と言って外出をしなかった。

娘さんは、絵が好きだった。そのころから、絵には色彩がなくなりモノトーンに。

絵には「ムダだって知ってるだろう」と心の叫びを書いていた。


非常に辛い内容である。


ここで、警察が行う捜査を順次説明します。


1.捜索

まずは、娘さんを捜すこと。ただ、身代金目的誘拐事件であれば、秘匿捜査を行うので制服警察官やパトカーは捜査体制に入れない。

しかし、本件は犯人からの身代金の要求がなく、その事件性がないので、早く無事発見し助けることを優先する。

捜索時は「絶対、無事発見するぞ。」との気概で捜索。

捜索は各人がバラバラに捜すのではなく、捜索班長が指揮をとり、

できるだけ多数人の警察官で体制を組み、捜索区域を決めて、各班を配置し捜索します。


2.公開捜査

本件も19日後に公開捜査を実施している。妥当な判断です。

広範囲に捜索した結果、発見に至らなかったので、未成年者誘拐事件や監禁事件等の可能性もあることから、娘さんの写真や身体特徴、服装、失踪状況等を公開し、情報提供を求める。


3.死者発見

(1)第一発見者の事情聴取

   何時に、どの場所で、どのような姿勢で、服装は、どうしていたときに発見したか。    

   等々の事情聴取を行う。


(2)現場鑑識

   犯人の証拠があるか、ないか。


(3)現場の実況見分

   現場の状況・死体の状況から事件性を判断する。

   本件は、薄着で死亡していた。凍死の特徴として、

   体内の温度と外部の気温に温度差が生じると、体温調節中枢の障害となり、

   極寒の場所で居ても暑い場所に居るような錯覚に陥て、衣類を脱いでしまう。

   私が現職時、雪が積もった冬山を登山中に滑落して死亡していた事案も死者は、

   パンツ1枚姿であった。現場で服を脱いでいた。


(4)検視

   死体の各所見から不自然な傷や圧痕等はないか。事件性を判断します。

   凍死の死斑の特徴は、肌の色が鮮紅色になる。

   低温下でヘモグロビンと酸素の結合が強くなるからである。


検視については、長年刑事をしていることから、数えきれないくらい検視を行っていますが、泣いたことが2回だけあります。

検視するときは通常は泣けない。というのは、警察官は私情を挟んではいけないから。

しかし、私は検視中に思わず2回泣いてしまった。


一つは、巡査刑事のときに、母親が、0歳と1歳の赤ちゃんをマンションの屋上から捨てて殺害し、自分も飛び降りて死亡した殺人事件である。

冷たく寒い霊安室で2人の赤ちゃんを検視した。

私は、まだ新米刑事であったので、検視官がその所見を言うので、それの記載係をしていました。

その2人の赤ちゃんの目を見たときです。私は涙が止まりませんでした。

赤ちゃんの目には、溢れていた涙が乾燥していました。

赤ちゃんながらに恐かったのでしょう。

検視中に泣いていたのは、私だけではありませんでした。

検視官も先輩刑事も鑑識係も全員が泣いていました。


もう一つは、ある日、殺害した赤ちゃんをスポーツバッグに入れて母親が警察署に自首した事件です。この赤ちゃんも産まれて間なしでした。

この事件は、母親が将来を悲観して赤ちゃんの口にタオルを押えて窒息死させたものでした。

この赤ちゃんの目を見たときに、窒息死なので目は充血していましたが、

やはり、目には涙がいっぱい溢れて乾燥していました。


本件の娘さんも14歳です。まだまだ将来ある少女です。

検視なんかしたくもありません。


4.身元確認

検視後に一番何とも言えない緊張のする仕事です。


現場の状況、鑑識結果、死体の状況等々の捜査を進めて、事件性の有無を判断して、

最後にご遺体を遺族の方に本人であるか確認してもらうのです。

その時にご遺族に捜査結果を説明します。

ご遺体の顔を確認する遺族のその瞬間は何とも言えません。

決して、形式的に説明する訳にはいきません。本当に遺族の気持ちになって説明します。

本件は、お母様が凍った娘さんに謝っていたとのことですが、そのときに説明された刑事さんの気持ちが痛いほど分かります。


人が一人死亡したときの警察捜査は、今、記載したことは、ほんの一部であり、

現場の刑事や鑑識マンは徹底的かつ綿密な捜査を行います。

このように警察は、失踪から死体発見まで捜査が続き、さらに死体発見後からも捜査が続きます。これが事件であれば、犯人発見まで捜査を続けます。


私は、長年そのような仕事をやってきましたので、

「いじめて自殺させた奴ら」が絶対に許せません。


そもそも、いじめは「臭いとかキモイ等」から始まり、いじめを受けた人が「毎日が怖くなる」「自分が嫌になる」まで追い込みます。


「殴る蹴る」は傷害罪・暴行罪、

「殺すぞ、ど突くぞ、ナイフを見せる」は脅迫罪、

暴行や脅迫で金品を要求すれば恐喝罪、

「死ね」と言って死ねば自殺教唆罪、

ネットやメールの嫌がらせは名誉棄損・侮辱罪等々の犯罪になる可能性が大いにある。


今回の事案で、いじめ側の生徒達は、自分自身がしたことが犯罪になることを無知で知らないんでしょう。人を尊重する気持ちを持ってほしい。

もし、「自分がいじめられたら」と考えてほしい。


もう、いじめによる少年少女の自殺が皆無になる社会を望みます。