中学生 放火事件

先日、放火容疑で名古屋市の14歳女子中学生を逮捕した。

という報道がありました。


https://news.yahoo.co.jp/articles/21d5f020d4b43783e3aad243c0b5b3c1ecf4e3d0


理由は「火をつけて人が集まるのを見たかった」。

人が死ぬかもしれないという想像は微塵もなかったという

まさに幼い発想が引き起こした事件です。


2019年に発生した京都アニメーション放火殺人事件は、

犠牲者36名という日本史上最悪の事件。

これも「自分が書いた小説をパクられた」という

根拠のない幼稚な発想が産んだ悲劇でした。

絶対に許されない事件であり、ご遺族様の心情を察すると心が痛みます。

二度とこのような事件が発生しないように強く願います。


放火は、一番と言ってもいいくらいの重罪です。


「赤馬」。警察の業界用語で放火のことを指します。

「赤犬」とも言いますが、燃えている炎が馬や犬に見えるからです。


刑事は「赤馬」が管内で発生したと認知すると、背筋が凍る想いにかられます。

それほどの重大凶悪事件。

全国警察の捜査一課の刑事さんや警察署刑事課の刑事さんは、ご理解できると察します。

証拠が燃えてなくなってしまうし、消化活動によって現場の状況がどんどん変化してしまい、捜査が困難なのです。


昔から刑事の間では、「お茶くみ3年」「殺し5年」「放火7年」と言われています。

刑事として一人前になるまでは3年の経験が必要であり、殺人事件は5年の経験、

放火は7年もの経験が必要という位置づけがされているのです。


警察の仕事は、住民の生命・身体・財産を守ることが使命です。


殺人は人の生命を奪う。

傷害は人の身体に傷をつける。

窃盗や詐欺は人の財産を奪う。


放火はその『全てを奪う』のです。


日本の刑法は、現住建造物等放火罪の法定刑を死刑・無期・5年以上有期懲役としています。2004年に刑法を改正する前までは、殺人罪の法定刑の下限が3年以上の有期懲役であったので、殺人罪より重い犯罪でした。

日本は木造の建築が主流あり、石の建築が主流である海外より建物が燃えやすいので、

日本の刑法は重罪とされているんですね。


私は、長年刑事をしてきて多数の放火事件を担当し、被疑者の取調べを実施しましたが、

放火の動機は様々でありました。


その動機を下記のとおりまとめると、


1 殺人

  全焼した民家から家人である女性が焼死体で発見された放火殺人事件で、

  母親を放火によって殺害した長男を逮捕しました。

  母親が2階で寝ていたところ、玄関と洋室の二か所に石油タンクを倒して

  火を点けた犯行であり、確実に犯行を遂げるために二か所に火を点けるなど、

  強い殺意があったものである。


2 証拠隠滅

  指名手配で有名な「おい、小池事件」が証拠隠滅のために、

  灯油を撒いて火を点けている。被害者の自宅内で被害者の頭部を鈍器で多数殴打し、

  首を絞めて殺害した後、自己の犯行形跡を隠そうと証拠隠滅を図って

  放火したものである。


3 恨み

  教員宿舎の寝室から出火し、屋内が半焼した火災が発生したが、

  被害男性は留守であったため無事であった。

  恋愛関係にあった彼女と別れ話になり、彼女が留守宅に侵入し、寝室のベットを見て、 

 「このベットで他の女性と寝ているのか。」と邪推して、ベットに火を点けて放火した。


4 反発

  ある高校の職員室が半焼した火災が発生しました。その翌日が期末試験でありました。  

  ある生徒が「学校は試験だけで評価するのか。」と反発し、

  廊下の窓が割って侵入して火を点けたものである。


5 愉快犯

  この種の放火犯は、危険人物であり放火魔と言える。

  燃えている火を見て興奮する癖があり連続犯行する。

  神社やお寺を放火する連続放火事件が発生しました。

  その手口から浮上した被疑者を逮捕しましたが、同種放火の前科があり、

  再犯の可能性がやはり高いと言える。

  愉快犯は火を見て興奮することから、必ず野次馬として現場を戻るものであり、

  この被疑者は「火を見て夢精していた。」


6 自殺

  自室で焼死体が発見された火災が発生しました。

  焼死体周辺にはガソリンが検出された。将来を悲観し自暴自棄となり、

  自室においてガソリンをかぶって火を点けたものである。


7 保険金目的

  家屋内の押し入れから出火し、家屋が半焼した火災が発生しました。

  家人を逮捕しましたが、同人は生活に困窮し、火災を装って自宅に火を点け放火して、

  火災保険を請求しようとしたものである。


このように、あらゆる動機のある人間が放火に手を出します。

普段は普通の人間にしか見えない。

事前に放火を食い止める術はないに等しい。


ならばせめて放火対策は行ってほしいと思います。


1 自宅の周辺に燃えやすいゴミは置かない。


2 自転車やオートバイのカバーは防炎の物を使う。


3 泥棒も同じですが、犯人は「音」と「明かり」に敏感でありますので、

  屋外を明るくする。


何が起こるかわからないこの時代。

“己の身は己が守る”

常にこの気持ちでいる事が大切です。