埼玉ネットカフェ立てこもり事件

先日、埼玉のネットカフェにおいて人質立てこもり事件が発生しました。


全国警察で人質立てこもり事件を捜査する警察官は、特定の捜査員のみ。

捜査第一課の特殊犯係です。


特殊犯係の担当である、身代金目的誘拐事件や人質立てこもり事件は、

非常に危険なものであり、被害者が犯人の手中に居るというもの。 


殺人や強盗事件等、事件発生後に進める捜査と違い、

犯人に捜査が察知されたりミスをすれば、

その瞬間に被害者(人質)の命に関わってしまう。


まさに動いてる事件であり、犯人から要求もある。

立てこもりでは、ほぼ犯人がけん銃や刃物を所持している為、

被害者を無事に保護しながら犯人を検挙するのは至難の業。


ですので、無事解決する為には、特殊班では日々の過酷な訓練が重要になります。


私も警視庁捜査第一課の特殊班係に出向していた際、様々な事を学び、

実際に誘拐や立てこもり事件を担当しました。

身代金目的誘拐事件は、全国的に発生が少なく、

経験者が少ない事から、さらに難しい事件と言えます。
















特殊班の技術の一部を紹介します。


1.交渉人


今回の立てこもりでも長時間犯人と矢面に立ち、

犯人と対峙し、交渉人は慎重な呼びかけを続けました。

そのテクニックは…


(1)犯人の名前を聞き出す


   『私は、徳島県警捜査第一課の秋山博康と言います。

    お名前を教えてください。

    名前が分からなかったら、あなたとの話が進みません。』

   

   このように犯人の名前を聞き出し、被疑者を特定する。

   人定が判明すれば、その者の身上捜査をする。

   

(2)条件を出す


   犯人が要求した場合、その要求に応じて条件を出す。


   例えば、「〇〇を呼べ」とか「〇〇を持ってこい」と要求があれば、

       『〇〇を用意するので、女性の人質を解放してくれ』とか

       『人質の声を聴かせてほしい』『寒いから毛布を入れさせてくれ』

   

   など提示していきます。

   今回、軽食を差し入れたのも、被害者が受け取ったという情報もありますので

   こういった交渉の末、安否確認を行ったのかもしれません。

   

(3)犯人の眠りを待つ


   本来の事件解決は、

   人質、犯人、警察官、誰も命を落とさず収束する事。

   

   犯人が眠った時が突入の最大のチャンスです。

   やはり人間が疲れて来る、深夜がチャンス。

   粘り強さが重要となります。   


2 強行突入


(1)訓練


   日々、様々なシチュエーションの立てこもり事件を想定して、訓練を重ねる。

   事件現場と同じ部屋を設定して、何回も何回も強行突入の訓練をする。   


(2)強行突入班の捜査員の選定


   部屋の大きさによって突入班の人数を決める。

   リーダー役や1番員等々の捜査員を選定する。

   部屋内の状況を把握し、各捜査員の任務、役割を決めて突入。

   (刃物を掴む者、タックルする捜査員など)

   迅速な確保を狙います。

   


この種事件は、

   

 金に困っている者・・・・身代金目的誘拐事件

 自暴自棄・・・・・・・・人質立てこもり事件


 であり、被害者が犯人の手中にある。

 

 私は、交渉人と強行突入の両方を経験しました。

 両方ともに失敗は許されません。


 人質、犯人、警察官が無事に解決する。


 今回の埼玉県警の解決は天晴でした。

 本当にお疲れ様でした。


 そして全国警察の捜査第一課特殊犯係の捜査員も、

 今回の事件解決を励みにまた、高度な訓練を重ねるでしょう。

 

 ほんまに頼もしいです。