殺意の認定

まだ捜査中の事件ですので、報道の範囲内での考察だという事をご了承ください。


先日、茨城県笠間市において、78歳の住職が女性を車のボンネットに乗せたまま走行し、殺人未遂罪で現行犯逮捕された事件がありました。


https://youtu.be/tAppMeWjKyQ


この事件の争点は、殺意があったか、なかったかの1点。


住職は、「女性をボンネットに乗せて走ったことは間違いないが、殺すつもりはなかった。」と弁解し、事実関係は認めていますが、『殺意』は否認しています。


警察側の捜査方針としては、この種の事件の被疑者は、だいたい殺意は否認しますので、

自白がなくても『客観的な証拠を収集』し、殺意が立証できるよう動きます。


事実関係は、防犯カメラに映っていたり第三者の目撃証言があるので、住職も認めざるを得ませんが、『殺意』は住職本人の内心の部分であり、誰にも分からないからです。


しかしながら、本件の犯行に使用した凶器は「走行する車」。

走る車は「最大の危険な凶器」です。

一部の防犯カメラの映像では、40~50キロくらいのスピードが出ており、

女性を乗せたまま約1キロもの距離を走っているし、蛇行運転や急停止をして女性を振り落とそうとしていたと言います。女性を殺すには十分な危険行為。


これからの捜査では、住職の取調べと並行し、事件現場でボンネットに被害女性と身長・体格等が同等の等身大のダミーを乗せ、実際に車を走行させてのスピード測定や、ダミーがボンネットから路面に転落した場合、車に轢かれる危険性があるかなどの検証を行います。


「殺してやる」という確定的な故意を謳わないならば、

それらの客観的証拠を元に「未必の故意」として認定し、検察官に送致する事になります。

未必の故意とは、「もしこのスピードで走行を続けながら蛇行運転をして女性を振り落とせば、当然、女性は車の前方に落ちて車で轢くことになり、死んでしまうかもしれない。

でも、それでも構わない。」という、『どんな事が起きるか分かっていながらも実行する』心理状態です。


しかし一方で、視点を変えてみると、住職だけが悪かったのかと

首をかしげてしまう点もあります。


他方向からの防犯カメラの映像では、住職が信号待ちで停止している時に、被害女性がわざわざボンネットの上に乗っているかのような姿が認められます。

信号待ちで停まってるならば、逃げるタイミングはある訳ですから、そのまま乗り続けているのも不思議です。


「車間距離が近かった」と女性側から注意をしにいった事から、

我々が知らないやり取りが引き金になった可能性も捨てきれません。


もし住職が「女性を殺すつもりはなく、早くボンネットから下りてほしかっただけ。」

という気持ちだったとすれば、

もしかしたら殺意は認定させないかもしれませんね。今後の捜査に注目です。


しかしながら住職のした行為は、許しがたい危険行為に変わりはありません。

どんな理由があろうと、車は最大の凶器です。


本件は交通トラブルから事件に発展しています。

社会問題となっている「あおり運転」も同様。

いつもは温厚な人であるのに、ハンドルを握ると急に性格が変わる。

そんな人が交通トラブルを起こすことが多いですね。

車を運転するときは、冷静に安全運転をお願いします。